資産の流動性とは換金のしやすさのこと

資産の流動性とは換金のしやすさのこと

流動性とは資産を異なる資産(通貨)に変換できること、その際の変換の容易性を言います。大きな損失をすることなく容易に換金できる場合は、その資産は流動性が高い、逆に容易にできない場合は流動性が低いと言われます。
資産はその性格によって流動性が大きく異なります。資産価値の確実性、その資産の買い手・売り手の多さ(すなわち市場規模)、売買手続きの煩雑さの度合いなどに依存して流動性が変わってきます。

 

例えば不動産は換金しようとしても通常はすぐには換金することはできない、流動性の低い資産の典型と言えるでしょう。不動産は一般に高額で、立地・建物の状態など1件ごとに条件が大きく異なるので値付けが難しく、さらには売買の際の手続き(土地登記など)が煩雑なので換金するまでに時間がかかるからです。不動産の証券化は不動産のこの流動性の低さを高める手法の一つです。
株式の場合は、大きな損失を出すことなく売りたいときに売ることができる時にその株式は流動性が高い、あるいは流動性リスクがないと言います。

株式は流動性が比較的高い資産

株式は商法(会社法)では「細分化された均等的な割合的単位をとる株式会社の社員の地位たる」と規定されています。なお、ここでの”社員”とは日常用語で使う”会社の従業員”あるいは”会社員”という意味とは異なって、”出資者”すなわち”株主”のことを意味します。
株式会社が多数の常に変動する社員(株主)で構成されることを想定して、商法は株式の容易な譲渡を可能にすることをも目的にしています(株式譲渡自由の原則)。そうでなければ株式の譲渡という社員の権利が保証されないからです。社員は出資した金額を取り戻したい時(投下資本の回収)は、その株式を譲渡するという方法によって回収することができます。

 

そのために株式をはじめとする証券類の公正かつ円滑な取引を促進・保証するために定められているのが金融商品取引法(平成7年9月30日施行)です。それまでにあった証券取引法を金融商品の多様化・国際化をはじめとする金融界の変革に対応すべく制定されました。
金融庁はこの金融商品取引法の法整備を次の4つの柱からなると説明しています。
(1)投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築
(2)開示制度の拡充
(3)取引所の自主規制機能の強化
(4)不公正取引等への厳正な対応

 

商法(会社法)の度重なる改正と金融商品取引法の設置、このように関係法制度が整い、1980年代以降の金融変革(いわゆる金融ビッグバン)に対処して金融市場・金融商品の透明性が高まっています。金融商品の代表格たる株式もその流通の場である証券取引所における取引の円滑化が図られており、金融商品の中でも流動性は高いといえます。

銘柄によって異なる流動性

取引所に上場している株式の場合、その上場している取引所によって流動性に違いがあります。一般的に言って、東京証券取引所第1部(東証1部)の上場している企業は信用力・時価総額が大きいですから、マザーズ・ジャスダックといった新興市場の上場銘柄に比べて流動性は高いと言えます。

 

株式は経営状況・保有資産といった発行企業の体力を反映して値付けされますから、企業の信用力が流動性に大きく影響します。信用力の高い企業の株式は多くの人が保有しようとしますから流動性が高くなります。

 

また株式の時価総額も流動性に大きく影響します。株式の時価総額とは株価に発行済株式数を乗じた数字で企業の現在の価値や規模を表しています。同時にその企業の収益力・成長力を示しています。時価総額の多い株式は流動性が高いといえます。

 

上場株式数が多くても、実際に流通している株式が少なければ流動性が高いとはいえません。株式持ち合い等の理由で特定の少数株主に集中して保有されている非流通分株式を除外して考える必要があります。

流動性の低い銘柄を見分けるためには

東証1部の場合、時価総額・流動性によって株式を3つのグループに分けています。時価総額が大きく流動性も高い上位100社の株式を大型株、それに次ぐ400社の株式を中型株、大型株・中型株いずれにも属さないものを小型株といいます。ちなみに、それぞれが株価指数Topix100・TopixMid400・TopixSmallの対象銘柄です。株式銘柄の流動性を判別するには、まず上記のいずれのグループに属しているのかを確認しておくことが基本です。

 

次いで確認する必要のあるのは売買高です。株式の流動性は日々の取引の出来高(売買数量)に反映されます。したがって株価の動向だけでなく出来高の推移を把握する必要があります。野村證券などの証券会社では情報ツールの中に流動性という項目があります。この場合の流動性は”売買高の25日移動平均値÷売買単位”の値です。

 

より詳細に、株価と連動しての売買高(より正確にいえば売買可能高)を調べる場合は売買板を確認する必要があります。売買板は価格ごと(1円きざみ)に売りたい数量・買いたい数量が左右に表示され、気配値(けはいね)ともいわれます。売買板も証券会社のサイトで確認することができます。

 

株式の流動性を表す絶対的な指標はありません。投資家の中には自分なりの流動性指標を工夫している人も多いのです。例えば、日々の売買高が自分の売買しようとする株数の1万倍を超えているかなど。

 

株式市場がパニックになった時には特に流動性の確保が必要ですが、その時になってからではほとんど対応することはできません。売りたいのに売れない状態なのですから。資金に余裕のある人なら長期保有を余儀なくされても(いわゆる”塩漬け”)なんとか対応できるでしょうが、生活資金・子供の教育資金などを株式投資にまわしている場合には不意の入院の時など、生活に大きな影響を及ぼしかねません。

 

株式投資の場合は常に流動性を確保することに留意することをおすすめします。